乾草(チモシー)を常時食べられるようにし、ペレットフードを体重の1.5%以下の量を1日量として1日2回程度与えるのが理想的です。乾草に含まれる繊維質が歯と胃腸の動きを健康に保つために重要です。ペレットフードは尿石症と肥満の予防のために、カルシウム制限し、低カロリーの製品が推奨されます。
胃腸の動きが低下し、内容物やガスが消化管内で動きにくくなる状態を指します。胃腸うっ滞は、食事中の繊維質不足、毛づくろいにより毛を飲み込むこと、病気やケガによる痛み、精神的ストレスなどあらゆるものが原因となり得ます。
草食動物は胃腸が動かなくなると、どんどん全身状態が悪化します。治療方法は原因を見つけてそれに対する対処、胃腸を動かすための薬剤の投薬と強制給餌を同時に行う必要があります。
上顎臼歯が頬粘膜を傷つけています。
ウサギはヒトや犬・猫と異なり、切歯(前歯)、臼歯(奥歯)ともに生涯伸び続けます。ウサギの歯科疾患は、不正咬合、歯根膜炎、根尖膿瘍(歯の一番根元の周囲が膿むこと)などが代表的です。
生まれつきの体質(遺伝的素因)がベースにありますが、切歯はケージを咬むことによる歯根部の負担、臼歯は乾草の給与不足が引き金、あるいは悪化因子となります。
異常に伸びた歯により口内を傷つけたり歯根部の痛みから食べることができなくなります。
伸びすぎた歯を定期的に切ること、膿瘍の切開などの生涯にわたるケアが必要になります。予防には子ウサギの時から乾草を十分に食べさせてください。
斜頚とは頚部が回旋をともなって傾く症状を示します。姿勢を保てなくなり体が回転してしまうこと(ローリング)もあります。原因としてはエンセファリトゾーン症または内耳炎のことが多く、その他に外傷、エンセファリトゾーン症以外の脳疾患などがあります。
エンセファリトゾーン症とは、Microsporidia(微胞子虫)に分類されるEncephalitozoon cuniculi が主として脳、腎臓あるいは眼に肉芽腫性病変を形成する疾患です。
症状は食欲低下、斜頚、ローリング、眼振(眼球が勝手に動く)、ふらつき、運動失調、四肢麻痺、尿失禁、腎障害、白内障などさまざまです。
診断は注意深い診察により内耳炎などの他の疾患を除外診断することと、エンセファリトゾーンIgM抗体検査を行います。IgM抗体は活動型抗体とも呼ばれ、陽性であればエンセファリトゾーン症の可能性が高いと判断されます。
しかし陰性であればエンセファリトゾーン症ではない可能性が高いと言えます。
治療はフェバンテルを主とした投薬を行います。
ウサギの卵巣・子宮疾患は比較的多い疾患です。子宮腺癌、子宮内膜過形成、子宮水腫、子宮平滑筋腫・肉腫が代表的で、卵巣の異常を伴っていることがほとんどです。これらの疾患の早い段階で飼い主さんが異常に気づくことは少なく、来院時にはすでに病気が進行していることが多いです。
子宮疾患を疑う重要な症状の一つは血尿です。血尿といっても本来の血尿ではなく、膣にたまっていた子宮からの分泌物が排尿とともに出てくるものです。子宮への出血により貧血が急に進行し、グッタリとすることもあります。他にはお腹が膨らむことで気づくかもしれません。
診断は、触診、レントゲン検査、超音波検査および血液検査で行います。治療は、ほとんどの場合は開腹手術で卵巣子宮を摘出することが必要です。
術中写真はコチラ※閲覧注意
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